箱石hakoishi
shitsui
シツイ
シツイさんは1916年11月10日、栃木県那須郡大内村で農家の5人兄弟の4人目として生まれました。
16歳で東京・向島区吾嬬町(あづままち)(現在の墨田区東部)へ上京。「オリオン」という理髪店で床屋見習いとして働き始め、18歳になった1934年に理容師試験に合格。四谷見附の「ライオン」という店に移っても、シツイさんは常に人気者でした。
そんなある日、出張に行ったご隠居さんの家に突然2つ年上の箱石二郎さんが現れました。ご隠居さんから「本人も気に入ったようですが、どうですか?」と念を押され、シツイさんは「私のようなものでよいのなら」と結婚を承諾。二郎さん26歳、シツイさん24歳の時でした。
新居兼理髪店は新宿・下落合。6か月間は2人で店を切り盛りしました。やがて店は繁盛し、長女、長男も誕生しました。長男が誕生した2か月後、夫の二郎さんは1944年に召集され、旧満州で戦死との報告を受けます。理髪店も東京大空襲で焼失したが、大空襲の前日、箱石親子3人は故郷の栃木県那須郡那珂川町に疎開しており、まさに九死に一生を得ました。
その後、1953年に那珂川町に「理容ハコイシ」を開店。村の人口が今の倍以上あったので、理髪店は大いに繁盛しました。その後、70年近く営業を続けています。
1人住まいで身の回りのことはすべて自分でこなし、常連のお客さんが来れば今でも店に出ているシツイさん。2021年3月に聖火ランナーとして走ったことが報じられ、話題にもなりました。
長男の英政さんが開発した益草茶「畔野果」は、シツイさんも20年以上、毎日朝昼晩と食後に愛飲しており、飲めば頭も身体もシャキッとすると言って今でも続けています。「高齢者がいつまでも元気でいられるよう、多くの方に飲んでほしい」と笑顔で話しています。
108歳まで仕事をしたアメリカ人の男性が世界最高齢の理容師としてギネスブックに載っているそうで、「その方を超えるには、私も109歳まで頑張らなくては(笑)」と、今も家族と支え合いながら笑顔でお店に立ち続けています。